2010-08-13

【雑感】教育用端末について

地道なOLPC事業のニュースを読んでふと思った事。

「これまで約200万台を出荷」--ネグロポンテ氏、OLPC事業の取り組みをアピール(CNET JAPAN)

> 十分な数の書籍を手に入れることが難しい途上国では、1台に何千冊もの本を格納できるノートPCや電子書籍端末の使用が有効である

いやいや、途上国でなくても、このような低価格の教育用コンピュータというのは有効ですよ。ちなみにキーボードをタッチパネル内のソフトウェアキーボードにすると部品が減り、コストが下がる。そう、あのiPadの形態、Slate(スレート)PCと呼ばれるボード状のコンピュータ。自分がSlatePCに拘るのはこれも理由のひとつだったりします。

モニタもe-inkにしてしまえば省電力で、かつ読みやすくなります。途上国ではOLPCのようにより汎用性の高いPCのほうが良いかもしれないけど、先述のように部品コストを下げる事が出来るのでOLPCでも有効だったりするのではないでしょうか。

また、日本のようにPCが十分普及している国ならプライベートコンピュータはiPadのようなスレートPCでいけるはず。軽いし、なにより気軽に使える。PCは家庭に一台あって、ホームサーバのように母艦として使えたり、リッチな環境がほしい時だけ使えばいい。今は個人用端末の役割を携帯電話が補ってるけど、こういう教育用端末が全ての子供に配布されればこれが標準になる可能性は高い。

教育ではインタラクティブな想像力をかき立てる仕組みも必要かもしれませんが、教育の仕組みがそれに対応対応できていない現段階では紙を置き換える事だけでも十分ではないでしょうか。手元に図書館や百科事典、参考書の窓口があると考えればその便利さが分かるのではないでしょうか。このあたりが孫さんの光の道構想が時期尚早と判断した理由でもあります。

ちなみにネット接続ではセキュリティと犯罪へのアクセスを危惧されますが、これらの教育用コンピュータのインターネットへのアクセスは、学校等に設置するproxyサーバを経由させる事でセキュリティ対策や犯罪対策もできてしまう。フリーダムな各家庭のPCに頼るより、よほど確かで堅牢な子供を守るシステムになるでしょう。

なので四の五の言わず、教育の現場に情報端末一刻も早く導入してみるべきではないでしょうか。紙を全て置き換えるのではなく、一部の紙の資料を置きかえるだけなのだから書店への打撃も少なくできるはず。というか、この端末の取次を教科書を取り扱う書店に行ってもらえれば、現存の流通システムを守りつつ移行も可能になる。かもしれません。

なお、この教育用コンピュータは十分低コストであり、そしてなにより換金されないようなチープな製品である事も重要です。全ての子供に配布するので、盗難への心配と、心ない親に「換金」されることを防ぐためです。このあたりはSIMロックをうまく活用することで(盗んでも使えないようにする)コントロールできるかもしれません(携帯電話は門外漢なのでビミョーですが)。

今のところ、Kindle DXもしくはASUSのEee Tabletあたりが性能と価格のバランスで最も教育用端末として近い位置にいるように思います。必要なのはリッチな情報ではなく、常に必要な最低限の情報にアクセス出来るかどうか。だから画面はモノクロで良いし、インターネット接続環境も安定さえしていれば最低限の速度で問題無い。

もう少しこの考えを煮詰めてみたいのですが、実行に移す方法についてが悩みどころです。特に既存プレーヤーへの配慮が欠けると、潰されてしまうでしょうから。

GIGA POCKET DIGITALのフィードバックミーティングに参加してきました。

/
このレビューは家電・PC・携帯・ゲームレビューサイト「みんぽす」から招待されたセミナーに参加して掲載しています。(詳細は末尾で)

なんだかズルズルと引き延ばしても良いエントリが書けそうにないので、サクッと書き起こす事にしました。なお、手厳しい意見は他の方に譲る事にして、実はWindowsプログラマの端くれである昼の仕事の顔ものぞかせつつ書いていきます。そのため評価が甘い部分があると言う事を最初に明記しておきます。

さて。

現在GIGA POCKET DIGITALの評価のため、2ヶ月ほどVAIO type Lをお借りしているのですがそのフィードバックミーティングのため品川のSONYまでお出かけしてきました。

SONY側からはいつものおなじみ、岩井様をはじめ以下のお三方が出席されていました。

由比様。肩書きを失念してしまいました。。。ミーティング後にいくつか質問させていただいたのですが、値デジの大人の事情をひしひしと感じてしまいました。


プログラムマネージャーの菅沼様。すげぇ生真面目に応対してくれました。きっと話しながら、頭の中でGIGA POCKET DIGITALの仕様やコード追ってたんだろうなぁ。 


そしてPL(プロジェクトマネージャー)の鈴木様。GIGA POCKET DIGITALの仕様はこの方の一言で決まってしまいます(たぶん)。

というわけで、菅沼様より、開発の背景の解説をするところからスタートです。
 
■開発ロードマップ


我々がお借りしたのは、GIGA POCKET DIGITALの最新バージョンである3.0のベータ版(ですよね?)。デジタル化してからメジャーバージョンが2つも上がってるんですね。2.0まではこのように機能の強化に努めてきたようですが、3.0になって基本的な部分の改良に着手されたようです。それをまとめたのが↓これ。


その他にも速度の改善など、改善点をソフトとしての基礎体力に重点を置いたようです。今回お借りしたのはまだベータ版でしたが、実際PCの地デジソフトの速度としてはかなり優秀です。特にアプリ起動については、画面表示までを大幅に改善したということでしたが、既存の地デジソフトを使っている方ならすぐに気がつくでしょう。

なお、速度について遅いという指摘も出ていましたが皆さん全てアナログテレビをお使いとの事。地デジテレビの不自由さを知っている方からはそんな指摘が出ていなかったので、許容範囲に収まったのだと思います。Windowsソフトとしてここまでの速度を出したのはいい仕事していると思います。

あとは録画機能や持ち出し、そして番組表の改善等についても説明がありましたが、同じSONYのプロダクトにTORNE(トルネ)という手強いライバルがいるためこの点については厳しい意見も出ていました。個人的にはPCソフトとしては良くできてると感じますが、自分のテレビ環境によって評価は分かれる部分かも知れません。

■起動性能改善

先に触れましたが、起動速度については特に改善ポイントとして対応したようです。


※写真がボケボケですいません。

地デジ機能についてはハードウェア側の性能も使い勝手に大きく影響を及ぼしますが、それらについては様々な会社の製品を利用しているため、協力しながらデバイスそのものやデバイスドライバ、UIに対してすべてに対して改良を積み重ね、速度の高速化を行ったそうです。こういう調整はPLの腕の見せどころでもあるのですが、なかなかいい仕事されているようです。

ソフトだけではなく、ハードについて他社と上手く連携をさせながら作るのは結構大変な作業なのですが、この辺も積み重ねてきた経験と技術が無ければクリアできない作業です。仕事する上で見習わねば。。。

と、ざっくりとこんな感じで説明がされました。

■MYカルテの紹介

GIGA POCKET DIGITALの大きな追加機能として、視聴や録画情報からユーザーの嗜好を読み取り、データ化するMYカルテという仕組みがあります。これについて最後にフィードバックを行ったのですが、ここはもう大荒れになってしまいました。ちなみにMYカルテの画面はこんな感じです。


荒れた理由はマッチングに難ありという意見が多かった事。私は気づかなかった嗜好が暴かれたので(笑)遊び機能としてはよいのではないかと思いますが、明らかにマッチングしていないものについてはまだまだ改善の余地があるのかもしれないです。個人的には集めている情報が多すぎて問題になっているような気がしますが、どんなもんなんですかね。

あとは細かな指摘については他の方に譲るとして、私としては概ね好評価な地デジ視聴ソフトでした。ただしじつは引っかかる部分があり、その点についてフィードバックミーティング後にお話を聞かせてもいただいたのですが、これは仕方ないのかなとも思う部分です。

その理由について次回エントリで今度こそ書きます。キーワードは「Windowsソフト」「タッチパネル」「めんどくさい」です。特に最後のキーワードはミーティング内でSONYの方々にも発したメッセージなのですが、「めんどくさい」と言われる事はとても面倒な事なのです。

テレビってどんな人が見ていて、どんなものだったか。その対象が私の想定しているものと違っているのなら見当外れな提言になるのでしょうが、まぁそんな意見もあるという事で。

GIGA POCKET DIGITALについてのエントリはまだ続きますが、フィードバックミーティングについてはおしまいです。



このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

2010-08-11

次世代iPodTouchにカメラはつくか?

次世代iPodTouchのカメラってインカメラだけの可能性も否定できないかもと思った。iPhoneのテレビ電話機能の人口を増やしたいだけなら、iPhoneの競合機能となるような機能をつけないかな、と。


既にiPhoneのシェアはiPodTouchには奪われないところまで来たと判断してくれれば、部品の共通化というコストダウン効果を狙って搭載は有りだなと俺は思う。特に動画撮影はiPodnanoにある機能なんだから、iPodTouchにあってもおかしくないかなと。

とはいえ、このところのリーク情報では背面カメラについての可能性も否定できない。iMovie for iPhoneというソフトを売るのにも有効だし、動画撮影機能を付与した製品を増やすってのは動画投稿コミュニティを育てる意図がある(はず)Appleにとっては妥当な戦略になる。・・・

そうすると写真撮影機能はつかないけどね。

ちなみに動画投稿コミュニティについてはそれを裏付ける情報がある。

アップルの「iTunes」音楽クラウド--関係者が語る機能限定の可能性と新たな道(CNET JAPAN)

クラウド環境を限定的にリリースするなら、動画投稿コミュニティという「情報共有クラウド」が先にリリースされてもおかしくない。そこでID管理やパーソナル情報のセキュリティが確保されていることを世間に理解してもらえれば(既にAppleStoreでできてるけど)、その先にも進みやすい。

ちなみにハードウェアの遷移でも、動画への傾倒は読み取れる。iPodNanoへのビデオカメラ搭載、iPhone4の動画編集ソフトの搭載、時期iPodtouchへのカメラ搭載の噂、それら全て伏線と捉えて良いでしょう。 > Lalaチームが音楽ではなく、未公開の動画機能の開発に取り組んでいる

そして秋に発表されるという噂のAppleTVはiPhone4のようにメモリしか搭載しないという噂もありますし、ジョブスの頭の中には「動画コミュニティ」の提供とそのデータの保存環境をクラウドで提供する事が念頭にあるんじゃないかと。

既存の著作権で縛られたコンテンツに頼るのではなく、Youtubeなどにも頼らず、自前で動画コミュニティからコンテンツを集め、そこに魔法をかけるとしたら。。。やべぇよ、これ。

いずれにせよ、涼しくなるまで待たないと真偽の程は分からないよ、と。

2010-08-10

iPad使用者の女性比率

嗜好別ではなく、性別でこういう結果が出るという点に異議がある。ちょっとサンプル母数が小さい気もするけど。

ビルコム:iPad 所有者3人に1人は女性、1 日のiPad 利用時間1時間以上が56.3%(Macお宝鑑定団)

パソコンを「暇つぶし」に使っている人ならiPadで十分代用が効く。テレビも見れないしFlashは表示できず、キーボードやマウスも仕えない。でもネットが出来る。ブログも見れる。ゲームも遊べる。何が出来て何が切り落とされたのか、よく確認しておく必要がある。
誰もが「何でも出来る」を求めているわけではなく、「自分のやりたいこと」が出来る「道具」を求めている人が多数だと思う。だからガラケーでも十分と言われるし、不便でも使いこなす事でデメリットを打ち消してしまう。

ガラケーを持ち出したのでポイントがずれちゃったけど、つまりiPadってのはごく特定の作業が出来る「コンピュータ」であって旧来の万能論的な「パソコン」感覚で捉えてしまうと残念な機械というレッテルが待ち受けてしまうような希ガス<勝手に誤変換

少なくとも、家の中でブラブラ持ち歩くのにすごく抵抗が低い。家族に白い目で見られることも少ない(パソコンだと「またか」と言われるのに・・・)。VAIO typePも敷居の低い道具だったけど、iPadはそれを完全に飛び越えていった。

あとは電子リーダーってのがどれだけ便利かを思い知らされたのも大きい。紙ってのはどれだけ贅沢な出版方法なのかと、自炊するために解体していると痛感する。贅沢ってのはコストがかかるわけで、つまり価格も高くなってしまう。

自費出版をしたことのある人間なら分かるけど、費用が高い。ボリュームが少なくなればなるほど一冊あたりのコストは上がっていくし、売れなければ在庫になってしまう。しかし電子出版ならその心配は限りなく下がる。コストは人件費だけといっても過言ではない。

今出版のインディーズとしてのインフラをつくる所があったら、間違い無く儲かると思うんだけどなぁ。

2010-08-09

iPadの美容院での活用について

※以下、twitterつぶやきの編集です。
ちょっと前の話。

美容院で、隣の客とスタイリストが「iPadがなんちゃら」的な会話をしていた。その横でiPadを弄んでた俺。ダシにされたか?

とまぁ、そんな感じで髪を切っている間に使ってみた結果、美容院で 雑誌 兼 料金表 兼 スタイルブック 兼 広告とするにはまだiPadは時期尚早と感じました。やっぱ重い。この重さは女性には致命的。あと、気軽さが足りない。紙媒体は放り投げられる。

しかしスタイルブック作成アプリが提供されていて、目をつけている奴はつけている。動的にコンテンツが入れ替えられるスレートPCと美容院は絶対に相性が良い。

iPodTouchが現行 iPhoneの液晶を手に入れたらいけるかもしれない。液晶が小さいので万人受けは難しいけど、子供用の動画を入れたり、ちょっとしたスタイルブックを作って保存し、客との会話の繋ぎに使うのならOKかと。稼動表や予約状況、売上などがリアルタイムに見れるのも良い。

何がすごいって、iPodTouchを買えばgoogleのwebサービス等と組み合わせて誰でもタダで構築できること。稼動表と予約状況はgoogleカレンダーでできるし、会員に見せることも可能。売上げはDropBoxにエクセルシート入れておけばすぐ確認できる。あとはインカムで会話しながら、メールで指示を流していけばいい。メールで指示を出せば、チェーン店ならリアルタイムで本社が各店舗の動きを把握できる。

欲を言えばiPhoneなんだけど、美容師のようにアクティブな人にはノーパソとモバイル無線LANルーターを持ち歩いてノマド的な活動も必要と考えると、iPhoneとモバイル無線LANルーターの2回線の維持費を出せッてのはちょっと酷かな。後は鏡をマジックミラー化して情報を流すのも面白いかも。お客さんに合わせてお勧めのスタイリング剤をCMするとか、面白い仕掛けを考えられるけどiPadから外れるので割愛。

美容、理容ってのは情報のジャンクションだから、先進的な使い方を導入させればいろんな所に「使い方」を発信できるんだよね。ヘアサロンのポテンシャルってすごいですぜ、と実家が理容を営み、そっち方面の仕事をしていた俺が呟いてみますよ、と。

2010-08-07

androidとiPhone論争について

※twitterでつらつらと呟いた内容を編集したものです。

Windows vs Macの時のように、androidが増えてくればiPhoneは駆逐されるなんて人がいるけどそれはちょっと違うと思う。その理由はUI(ユーザーインターフェース、つまり操作性)が各社の独自性を持たせる事が出来るため、ユーザーはandoidと言う事を意識して使うわけではないから。

現在のガラケーのようにそれなりの縛りがあれば問題ないかも知れないけど、androidはもっと自由度が高いように思う。スマートフォンはPCよりもしきい値が低く、ど素人も使う可能性が高い。その状態で色んなハードメーカが出して操作性がバラバラだとユーザが混乱する野ではないかな、と。

自由度の高いAndroidのジレンマってのは、真の意味でのPC普及が進まないのと同じ香りがする。人間てのはそんなに勤勉ではないし、楽にできるのならそちらに流れる生き物。道具の進化を見ればそれが良くわかる。良いものを作っても、過去の道具と操作性に類似性があるものほどより生き残れる可能性が高くなる(たぶん)。

俺がAppleが嫌いでも、iPadやiPodtouchを使うのはそれが便利な道具で簡単だから。Androidをそこまで「育てる」手間はかける余裕がないなぁ。。。

ただこれは今時点の話で、 Androidコミュニティがもっと充実して各社がスマートフォン開発のノウハウを蓄え、ハードウェアの性能が上がって制約が少なくなればわからなくなる。だから仕事として考えるなら間違いなくAndroidを薦める。もうIOSの世界はレッドオーシャンだから。

スマートフォンを使いこなして便利になる世界っのはAppleが切り開いてくれるだろうから、android陣営それをフォローしてもっと便利なものを作れるようになればいいだけだと思うんだよね。既にOLさんや女子学生がiPhoneをすいすいと使いこなしているのを電車で見ていると、既に整ってきたと言っていい。ここでユーザーがいかに怠惰に使えるものを作るか。で、使ったときに「おおー」と言えるものに仕上げられるかどうか。

以前電車でおじいさんにiPadの質問を受けてそう思った。「もうパソコンは要らないな」て言われたんだけど、つまりPCのライトユーザーがパソコンでやることはiPadはほぼカバーする。必要に応じてPCを使えばいい。年齢や性別は関係ない。

ただしPCでライフハックできている人には当てはまらない。そういう人は今のAndroidもスマートに使いこなせるし、iPadが必要となる「隙間」はたぶん無い。でも人類の総人口比で見たらまだ少数派だと思う。数字的根拠はないけど。

iPadを使いこなす人も実は少数派の人が多い。だからライトユーザーへのメリットをうまく伝えられなかったり、もっと踏み込んだその先の使い方をしたりする。もっと手前の部分、人がコンピュータを使う理由の機能の「UI」が磨きこまれていることに注目したい。

そう、キーワードは「UI」ってことで。